ネット系システム屋はそんなにいい加減なとこばっかじゃないと思う

この記事、ちょっと違和感を感じたのでメモ。
第23回 社会人としての責任感に欠けるネット系“システム屋” - ダメな“システム屋”にだまされるな:ITpro
ここで例として挙げられている「ネット系システム屋」は極端すぎませんか。そもそも、こんな会社に仕事を発注する前に気づかない方にも責任あるんじゃないでしょうか。
ただ、一般論として、この記事で言われている「旧来のシステム屋」と「ネット系システム屋」ではビジネス上のプライオリティが違うというのはあると思う。「旧来のシステム屋」はいわゆる基幹系に近いところを主に担当しているので、システムの品質が優先されるが、開発期間は比較的長い(かつ、期間内に終わらないことが多い)。一方、「ネット系システム屋」はスピードが命なので、品質面では割り切りが必要な場合もある。それが顕著に現れると、「旧来のシステム屋」としか付き合いのない人にとってはこの記事のような印象を持つこともあるのだろう。
ちょっと引っかかったのは、

楽天ミクシィなど、インターネット上で自身が事業を立ち上げて成功した企業は日本でも多数あります。しかし、他人の事業のためにサイトを構築する企業の中には、まだ成功者も失敗者もいないのが現状だと思います。こうしたサイト構築企業は、今はダメな“システム屋”でも、今後、品質を担保する能力などを身につけさえすれば、顧客企業にとって頼もしい存在になることでしょう。

というくだり。

  1. 楽天ミクシィなど、インターネット上で自身が事業を立ち上げて成功した企業は日本でも多数あります」といわれてますが、楽天mixiもサービス開始当初のシステムはひどいもんだったと思う。スピード優先でビジネスを展開してきたからこそ、今日の成功がある。そういう前提を理解せずに、「ネット系システム屋」だけに責任を問うような口ぶりが気に入らない。
  2. 「他人の事業のためにサイトを構築する企業の中には、まだ成功者も失敗者もいないのが現状」ってことはないでしょう。既に淘汰されまくってる気がするのだが・・・

Cloud Computingこそ次世代の"常識"

GoogleIBMが共同で大学向けにCloud Computingの研究開発のためのリソースを提供するというニュースがありましたが、そのプロジェクトスタートに関するエピソードが紹介されています。
グーグル、無限への挑戦 (BusinessWeek):NBonline(日経ビジネス オンライン)
Javaオブジェクト指向を実用化し、JavaEEがCORBAの夢を具現化したように、Cloudがグリッド技術の秘めたるパワーを解き放つのでしょうか。
いずれにせよ、次のパラダイムシフトは「インターネットスケールに拡散した超分散システム」によってもたらされる予感がします。

フレッツ大トラブルの真相を解説

NTT東のフレッツ・トラブル,「ルート再計算により・・・」の真相:ITpro
いろいろな要因が重なったことで発生したそうです。IPv6が既に本格運用されていたのは知りませんでした。

Adam Bosworth、Ajax復活の要因を語る

私が尊敬してやまないAdam Bosworthが、1997年にAjax(当時はそういう呼び名ではありませんでしたが・・)が一度失敗し、最近になって復権した理由を語っています。
グーグルが語る:Ajaxはなぜ最初失敗し、その後成功したのか − @IT
ちなみに、この記事の元ネタはこちらだと思われます。
http://www.adambosworth.net/archives/000044.html

IT産業を労働集約型から知識集約型へ

Groovin' High:ベンチャーがベンチャーである理由 - livedoor Blog(ブログ)

2.サービス化
受託開発の本質を転換するという発想が、サービス化にはあります。私たちが進めているサービス化の特徴は、「開発費をとらない受託開発」です。今行っているのは、携帯アプリとWebサービス。どちらも顧客の要望にあわせた開発をするのですが、開発費をとらずに実現していくというものです。このためには、開発生産性を極限まで向上させる仕組みが必要です。開発費をとらず、どちらも利用料を受け取る仕組みになっています。つまり使っただけ支払っていただくモデル。
このような発想で取り組むと、顧客との関係は劇的に変わります。今までは顧客の要望を聞いてシステム開発を行っていたのが、顧客の事業分析を行い事前にプロト開発をして「これを使ってみませんか?」という提案から入る。小さな変化かもしれませんが、本質的にはきわめて大きな変革が始まっているのを感じています。

これが実現すれば、SIerも「御用聞きの人月ビジネス」から脱却できますね。
私は必然的にこのモデルに移行していくだろうと考えています。背景として思いつくのは、

  • インターネットインフラがあまねく行き渡り、「ネット上でのサービス」という形態でアプリケーションを提供することが当然になってきた
  • 企業間競争の激化で、企業ITも「自前主義」から「選択と集中」へ移り変わりつつある
  • 受託開発モデルの崩壊:BRICsなどの新興勢力の台頭による単純請負開発の低コスト化

というところでしょうか。
確かに、開発費をとらずに顧客のビジネスの先回りをしてプロトを開発することには大きなリスクが伴いますし、開発する側も今までとは異なるスキルが要求されるため、容易なことではないと思います。しかし、SIerの経営者は、リスクを回避して旧来のビジネスモデルに固執することが、実はもっと大きなリスク(茹で蛙)であることを認識すべきだと思います。
また、お金の流れが従来と変わるところも注目ですね。従来は、

  • 需要に応じて人を売り、利益=顧客からもらった開発費-人件費

だったのが、

  • 先行投資してサービスを開発し、利益=顧客がサービスを利用した対価(-サービス運営費)

というサイクルになるので、従来よりも軍資金が必要になるはずです。
そのためには、常にある程度の利益率を確保して内部留保⇒次の投資にまわす、という戦略的なキャッシュマネジメントが求められることになり、従来の*経営に疎い*経営者ではつとまらないでしょう。