ウェブは資本主義を超える-「池田信夫ブログ」集成
- 作者: 池田信夫
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2007/06/21
- メディア: 単行本
- クリック: 99回
- この商品を含むブログ (62件) を見る
特に重要なのは、「経済学の目的は稀少資源を効率的に配分する方法を考察することである」という前提を指摘した上で、ウエブ時代が到来したことで、
資本主義社会の前提は、資本が稀少で労働は過剰だということだ。工場を建てて多くの労働者を集める資金を持っているのは限られた資本家だから、資本の稀少性の価格として利潤が生まれる。これは普通の製造業では今も正しいが、情報の生産については状況は劇的に変わった。ムーアの法則によって、1960年代から今日までに計算能力の価格は1億分の1になったからである。
という変化が起こっていることを踏まえ、
つまり情報生産においては、資本主義の法則が逆転し、個人の時間を効率的に配分するテクノロジーがもっとも重要になったのである。だからユーザーが情報を検索する時間を節約するグーグルが、その中心に位置することは偶然ではない。資本主義社会では、稀少な物的資源を利用する権利(財産権)に価格がつく。情報社会では膨大な情報の中から稀少な関心を引きつける権利(広告)に価格がつくのである。
という指摘がなされていることです。
これは、対象とする「稀少財」が変わっているだけで、本質的には市場原理が有効に機能していることを意味しているという点で本質的な指摘だと感じました。
これ以外にも、今まで表層的な理解しか得られていなかった多数の領域に関して、本質的な理解の入り口となる論が多数あり(一部極論もありますが)、物事に関する認識を改める良いきっかけが得られました。