日本のIT産業の未来は明るい?
日経BizTech編集長である谷島さんのコラムです。
日本のIT産業における本質的な問題は、「こうあるべき」「こうするべき」という”べき論”ばかりで、「こうあると何がうれしいのか?」「こうするとどのように良くなるのか?」という”理想”(英語で言うとVisionでしょうか?)が足りないことである、という主張をされています。
”べき論”ばかり先行して何も変わらない、その繰り返しの状況を谷島さんは「無限ループ」と表現されています。
冒頭で無限ループという言葉を出した。「ああ,また同じことが繰り返されている」「問題点は指摘済み,解決策も以前から論じられている。でも実行されない」。ITの世界を取材していて,こんな感想を抱くようになったので,無限ループと表現してみた。
で、ITとビジネスの関係についてこんなくだりがあります。
筆者にとって印象深かったのは,「ITにはビジネスを変えるインパクトがある」という下りであった。「ITは道具に過ぎない。経営やビジネスをどう変えるかが先にあるべき」と言われてきたし,筆者もそう書いてきた。経営者が「ビジネスをこう変えたい。だからこんなシステムが欲しい」とはっきり言う。それを受けて,IT部門とITベンダーはシステムを作る。この流れは一つの理想だが,逆の流れもありうる。「ITを駆使することで,業務プロセスをこう変えられます」とIT部門がITの可能性を説明し,それが刺激となって,経営者や事業部門が新しい業務プロセスを考える,といった流れである。そのために,IT部門やITベンダーは,最新ITの内容とそのビジネス・インパクトを理解し,分かりやすく説明する必要がある。
こちらの書籍で論じられている通り、
ITにお金を使うのは、もうおやめなさい ハーバード・ビジネススクール・プレス (Harvard business school press)
- 作者: ニコラス・G・カー,清川幸美
- 出版社/メーカー: ランダムハウス講談社
- 発売日: 2005/04/07
- メディア: 単行本
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確かにITは道具に過ぎません。しかし、人類の歴史を振り返ってみれば、道具の発達が人間の思考様式や文化に影響を与え、それがまた道具の発達を促すという循環があることを忘れてはならないと思います。
例えば、数字は単なる道具にすぎません。しかし、数字を発明したことで人類は「数を操作する」という抽象概念に到達したのです。