何がSOAを阻んでいるのか?

「ビジネスから考えてこそSOAの意味がある」、IBMと豆蔵の両エバンジェリストが強調:ITpro

会場では聴講者による質問や反論も飛び交った。金融機関でシステム開発を担当しているというある技術者は「小さいチームで繰り返し型の開発を実施することは現実的ではない。大まかな全体コストや納期をプロジェクト前に確定しなければいけないし、ベンダーとの契約も問題になる。それらを変えてまでSOAを採用するメリットを見出せない」と語った。

という反論があったそうですが、ちょっと考えてみたいと思います。
本当に「大まかな全体コストや納期をプロジェクト前に確定」できていますか?システム開発における概算見積もりがいかに不正確なものであるか、この業界の人なら身に染みていると思います。繰り返し型の開発は、対象を小さく絞り込むことで「ゆらぎ」を小さくするという効果がありますので、小さな開発単位を基準にして全体予算や期間を見積もった方がむしろ正確になるのではないでしょうか?
あと、「ベンダーとの契約の問題」というのが何を示してるのか不明ですが、もしハードやソフトの発注のことを指しているのであれば、これも時間が解決する問題ではないかと思います。仮想化技術の進歩により、ITインフラは限りなくユーティリティに近づいています。将来はよほど特殊な要件でもない限り、ハードやソフトの調達をビッグバンで行わなければならない事態は減っていくでしょう。(むしろ、商用ソフトウェアのライセンス体系がこのような利用形態に対応できていないことが問題ではないかと思います。)
一番の問題は、実は発注側にあるのではないでしょうか。年度単位で予算を確保しなければならず、そのためには前年度末に概算見積もりをしておかなければならないという、お役所的な資金運用が最大の(そして根深い)問題なのではないかと感じます。