HD DVD死すとも、RD魂は死せず:東芝への提言

増田和夫氏による、東芝の今後のHDDレコーダ戦略を占う記事です。
【緊急提言】東芝VARDIAの“録画魂”は「HD DVD撤退」を乗り越えるか? - 日経トレンディネット
今のところ、東芝Blu-ray Disc(BD)を手がける予定はないと明言しています。しかし、東芝のHDDレコーダが今後も存続するためには、BD対応は必須です。理由は以下の通り。

  • 長期保存用や配布用メディアとしては、コスト面や運用面で光ディスクが最も優秀。HDDや半導体メモリのコスト低下には限界がある。
  • 家庭用ビデオカメラでは既にハイビジョン録画が台頭してきており、容量へのニーズが切実。
  • ダビング10が開始された時点からハイビジョン映像の録画を長期保存するというニーズが必ず主流になる。

もちろん、10年後を見据えれば、長期保存用はフラッシュメモリに、配布用はネットに移行していく可能性も否定しませんが、直近5年程度のレンジではこれが現実だと思います。
増田氏も記事で言及していますが、RDシリーズの本懐は「DVDは単なるバックアップメディア」と割り切って、HDDへの録画とネットワーク機能をメインに設計されているところにあると思います。であれば、BDへの移行は実は意外に容易なのではないでしょうか。
また、

RDシリーズは光メディアの変遷を越えて生き残れる」と言っても、これはコンセプトとしての話に過ぎない。実際のRDシリーズの中身は、HD DVD対応のためにDVDモデルから大幅に塗り替えられている。HD DVDタイトルを再生するために必須の機能であるWebブラウザー機能やインタラクティブ機能を実現する「HDi」を搭載するために、以前の録画システムに加えて、再生システムに「Windows CE」とインテル製CPUを追加する必要があった。RDシリーズはOSの異なる2つのシステムが同居するという、複雑なアーキテクチャーに変ぼうしてしまったのだ。

とある通り、本来は技術的にニュートラルであったRDが、HD DVD対応のために歪められてしまったことも伺えます。むしろ、BD対応に舵を切ることで、RDが本来基盤としていたLinuxや、オープン性の高いJavaなどに経営資源を絞り込むことができるという考え方もあります。

当面の戦略としては、H.264を使ってDVDに録画する機能を強化するのが良いのではないでしょうか。この領域はまだ未開拓で、東芝VARDIAでセールスポイントとしていた点でもあります。H.264対応については、先行するPanasonic/Sonyとも、まだまだ機能的に制限が多かったり、機器間の互換性がなかったりと問題が山積みです。ここに東芝が付け入る隙があります。

ちなみに、東芝液晶テレビREGZA」には、RDで培われた技術が惜しみなく投入されているのをご存知でしょうか。テレビといいつつ、USB HDDやNAS、はてはPCの共有フォルダにすら録画ができてしまうという凝りようです。この方向性を推し進めて、「長期保存はホームサーバーに」という戦略もアリだと思います。近未来には、自分の映像ライブラリをネットワーク上のストレージサービス(GoogleとかAmazonのような)に保管できるようになるといいなぁ。。。(妄想)