IT産業を労働集約型から知識集約型へ

Groovin' High:ベンチャーがベンチャーである理由 - livedoor Blog(ブログ)

2.サービス化
受託開発の本質を転換するという発想が、サービス化にはあります。私たちが進めているサービス化の特徴は、「開発費をとらない受託開発」です。今行っているのは、携帯アプリとWebサービス。どちらも顧客の要望にあわせた開発をするのですが、開発費をとらずに実現していくというものです。このためには、開発生産性を極限まで向上させる仕組みが必要です。開発費をとらず、どちらも利用料を受け取る仕組みになっています。つまり使っただけ支払っていただくモデル。
このような発想で取り組むと、顧客との関係は劇的に変わります。今までは顧客の要望を聞いてシステム開発を行っていたのが、顧客の事業分析を行い事前にプロト開発をして「これを使ってみませんか?」という提案から入る。小さな変化かもしれませんが、本質的にはきわめて大きな変革が始まっているのを感じています。

これが実現すれば、SIerも「御用聞きの人月ビジネス」から脱却できますね。
私は必然的にこのモデルに移行していくだろうと考えています。背景として思いつくのは、

  • インターネットインフラがあまねく行き渡り、「ネット上でのサービス」という形態でアプリケーションを提供することが当然になってきた
  • 企業間競争の激化で、企業ITも「自前主義」から「選択と集中」へ移り変わりつつある
  • 受託開発モデルの崩壊:BRICsなどの新興勢力の台頭による単純請負開発の低コスト化

というところでしょうか。
確かに、開発費をとらずに顧客のビジネスの先回りをしてプロトを開発することには大きなリスクが伴いますし、開発する側も今までとは異なるスキルが要求されるため、容易なことではないと思います。しかし、SIerの経営者は、リスクを回避して旧来のビジネスモデルに固執することが、実はもっと大きなリスク(茹で蛙)であることを認識すべきだと思います。
また、お金の流れが従来と変わるところも注目ですね。従来は、

  • 需要に応じて人を売り、利益=顧客からもらった開発費-人件費

だったのが、

  • 先行投資してサービスを開発し、利益=顧客がサービスを利用した対価(-サービス運営費)

というサイクルになるので、従来よりも軍資金が必要になるはずです。
そのためには、常にある程度の利益率を確保して内部留保⇒次の投資にまわす、という戦略的なキャッシュマネジメントが求められることになり、従来の*経営に疎い*経営者ではつとまらないでしょう。